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大人・シニアのそろばんは脳トレ・認知症予防になる?

「親に脳トレを」「自分の物忘れが気になる」方へ。研究で言えることと言えないことを分けて書きます。

「認知症を予防する」と言い切る証拠はまだ無い。ただし手がかりはある。昭和大学の無作為比較試験(Takaoka ほか、PLOS ONE、2024)では、42〜79歳の健康な 20人が珠算式暗算のアプリを 6か月家で使い、注意を切りかえる検査と計画の検査が対照群より伸びた。一方、認知症の検査(MoCA)や記憶の検査は変わらなかった。大人のそろばんは「計算を毎日短く続ける脳の運動」として使えるが、病気を防ぐ・治す道具ではない。

研究で分かっていること

  1. 中高年の無作為比較試験(6か月)。地域の認知症予防の活動に参加する 42〜79歳 20人を無作為に 2つに分け、10人が珠算式暗算のアプリを家で 6か月使った(平均 1日 25分)。使った群は「順番にたどる」(注意の切りかえ)の検査が 2か月で、「道を計画する」検査が 6か月で対照群より伸びた。認知症の検査(MoCA-J)の合計、視空間、ワーキングメモリの検査には差が無かった。著者は人数が少ないこと、追跡がないことを限界として挙げている(Takaoka ほか、PLOS ONE、2024)。
  2. 軽度認知障害・初期のアルツハイマー病の人の予備研究。スペインの 20人(平均 73.6歳。健康 6人・軽度認知障害 6人・初期アルツハイマー病 8人)が、そろばんの計算を使う脳トレを 5週間(10回)受け、MMSE の点が 23.1 → 24.9 に上がった。ただし対照群がなく、人数が少なく、追跡は約1か月(Matías-Guiu ほか、Neurología、2016)。
  3. 読み書き計算の学習療法。東北大学と公文の共同研究では、簡単な計算と音読を続けた認知症の高齢者で前頭前野の検査(FAB)と MMSE が改善したと報告されている。そろばんではなく筆算だが、「簡単な計算を毎日短く」が脳の活動を高めるという点は共通する。
  4. 子どもの研究が示すしくみ。珠算式暗算の熟達者は計算に両側の頭頂葉・前頭葉を使い(Hanakawa ほか、2003)、長く続けた子は実行機能の課題で前頭・頭頂を効率よく使う(Wang ほか、2017)。大人で同じ変化が起こるかは研究中。

言えないこと(大事)

そろばんキングダムは医療機器ではなく、効果を保証するものでもない。「毎日 5分の計算を、まちがいを直しながら続ける」ための道具として使う。

大人が始めるときの進め方

段階やること目安
120〜16級(答えが 5まで → くり上がり)。登録なし1〜2週間
215〜10級。みとり算にひき算がまじる。1日 5〜10分2〜3か月
39級からかけ算、7級からわり算半年〜
4暗算・フラッシュ暗算(珠の像ができてから)1年〜

よくある質問

何歳まで始められますか?

上限はない。上の研究は 79歳まで。数字が読めて指が動けばできる。

1日どのくらいやればいいですか?

研究では 1日平均 25分だったが、まず 5分から。長くやるより毎日続く長さにする。

本物のそろばんは必要ですか?

あったほうがよい。指で珠を動かす感覚が像を作る。画面のそろばんでもできるが、手もとに 1つ置く(1,000円くらい)。

認知症の家族に使わせてもいいですか?

医師に相談してから。軽度認知障害・初期のアルツハイマー病の人での予備研究はあるが、対照群のない小さな研究で、効果を保証するものではない。本人が楽しめるなら、短くいっしょにやる活動として使う。

🧮 じっさいにやってみよう

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